室生寺
悟りの仏
多くの寺が女性の立ち入りを許さなかった時代にも、女性を慈悲深く受け入れてきた室生寺。
高野山が厳しく女人を禁制したのに対し室生寺は開かれた道場「女人高野」として広く親しまれ、山深く清流の流れる地で、古くから龍神信仰の霊地として崇められています。金堂の中尊釈迦如来は榧の一木造りで、衣紋は平安初期の力強い翻波式の特徴を持ちながら、繊細で流麗な独特の様式であることから室生寺様と呼ばれています。
境内案内
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国宝
中尊 釈迦如来立像
中尊 釈迦如来立像国宝
釈迦如来立像 / 国宝 木造 像高234.8㎝ 平安時代初期
美しいお姿の金堂の中尊は、仏教の開祖であるお釈迦様が悟りを開かれ、永遠に衆生を救済する仏になられた釈迦如来です。
深い瞑想の表情をされた室生寺の釈迦如来は、もともとは古式の薬師如来像であったと考えられています。
平安時代初期に造立され、華やかな文様が描かれた光背も制作当初のものです。 -
国宝
金堂
金堂国宝
金堂 / 国宝 平安時代初期
堂内には釈迦如来立像、十二神将立像などが安置されています。
9世紀なかばごろの創建とされ室生寺の中で最も古い建築物の一つ。
江戸時代、徳川5代将軍綱吉の生母、桂昌院が深く仏教に帰依し、室生寺の堂塔の修理、復興に力を尽くし、この時期に金堂も大改修がなされました。 -
国宝
五重塔
五重塔国宝
五重塔 / 国宝 平安時代初期
室生寺のシンボルの五重塔。高さ約16mと屋外に建つ五重塔では我が国最少。
相輪部は水煙ではなく、水瓶や宝珠をいただく。これを乗せる例は他にはない。
また、平成10(1998)年9月22日、近畿地方を襲った台風7号の強風による倒木によって大きな損傷を受けましたが、このニュースが伝えられるや支援の声が殺到し、約2年という速さで修復が終わりました。 -
寳物殿
寳物殿
寳物殿 (ほうもつでん)
堂内に安置されてきた国宝や重要文化財指定の仏像は、修復を繰り返しながら外気の寒暖差と湿度変化に耐え、千年以上もちこたえてきました。しかし、地球温暖化は山内の環境にも影響を及ぼしています。次世代へ仏像を受け継いでいくことを考えると、堂内の環境改善が必要ですが、堂そのものが文化財指定のため新たに手を加えることができません。また、老朽化した寳蔵では什宝を湿気や虫喰いから守ることも困難です。そのため、文化財の保護と分散を目的とした寳物殿が建設されることとなり、令和2(2020)年3月に完成いたしました。
寳物殿が、室生の地で人々のために供養祈願されてきた仏像等、そして守られてきた寺宝等を次世代へ大切に受け継いでいくための礎となることを願っています。国宝 十一面観音菩薩立像 平安時代前期
国宝 釈迦如来坐像 平安時代前期
重要文化財 地蔵菩薩立像 平安時代前期
重要文化財 十二神将立像 鎌倉時代
(寳物殿には寅神、卯神、辰神、巳神、未神、酉神を安置しています。)
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国宝
本堂(灌頂堂)国宝 / 如意輪観音菩薩像
本堂(灌頂堂)国宝国宝
本堂(灌頂堂)/ 国宝 鎌倉時代
真言宗の重要な儀式である灌頂という密教の儀式が行うために建てられた堂。
如意輪観音菩薩像重要文化財
如意輪観音菩薩像 / 重要文化財
木造 像高78.7㎝ 平安時代女性的な優しさに満ちた表情を浮かべるこの如意輪観音は日本三如意輪の一つ。如意宝珠と輪宝を持ち、諸願成就に功徳があるとされます。
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重要文化財
弥勒堂 / 弥勒菩薩立像
弥勒堂重要文化財
弥勒堂 / 重要文化財 鎌倉時代
かつては雨乞いや、五穀豊穣などの御祈祷をしていたお堂。
改修工事の際、須弥壇の下と天井から籾塔が多数見つかった。弥勒菩薩立像重要文化財
弥勒菩薩立像 / 重要文化財 木造 像高94.4㎝ 奈良時代末期
山内で最も古い仏像で、本体と蓮台の上半分、両手先、天衣、瓔珞の細部まで一材から彫られ、彩色も控える檀像風彫刻の代表例でもある。
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仁王門と四季に移ろう風情
仁王門と四季に移ろう風情
昭和40年に再興され、赤と青の阿吽の仁王像も新しい、朱塗りも鮮やかな門。
この門をくぐるとバン字池があり、木の上に卵を産み付ける天然記念物のモリアオガエルが生息しています。 -
鎧坂(よろいざか)
鎧坂(よろいざか)
新緑と薄紅色のシャクナゲに彩られた鎧坂を上りきると金堂。
自然石をていねいに組んだ様が、小板を編んだ鎧に似ていることから鎧坂と呼ばれています。 -
重要文化財
奥之院 御影堂
奥之院 御影堂重要文化財
奥之院 御影堂(おくのいん みえどう) / 重要文化財 鎌倉時代
仁王門から奥の院まで約700段の階段を上がると奥之院があります。
御影堂は弘法大師を祀り、毎月21日に開扉されお像を拝観することができます。
文化財紹介
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室生寺五重塔(むろうじごじゅうのとう)
- 区分
- 国宝(建造物)
- 年代
- 平安時代初期 (800)
- 概要
- 屋根は桧皮葺(ひわだぶき)。高さ16.1m、野外に立つ五重塔としては最も小さいもので、室生山中最古の建物です。
平成10(1998)年9月、近畿地方を襲った台風7号の強風による倒木によって大きな損傷を受けましたが、約2年という速さ修復が行われました。
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室生寺金堂(むろうじこんどう)
- 区分
- 国宝(建造物)
- 年代
- 平安時代初期 (800)
- 概要
- 金堂は五重塔とともに当寺草創のものといわれ、平安初期の建立と考えられています。懸け造りの高床正面一間通りは江戸時代に付加した礼堂(らいどう)で、この部分が無かった時代には、堂内の仏像の姿が外からも拝めたようです。
寄棟造(よせむねづくり)の屋根は杮葺(こけらぶき)。
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室生寺本堂(灌頂堂)(むろうじほんどう(かんじょうどう))
- 区分
- 国宝(建造物)
- 年代
- 鎌倉時代前期:延慶元年(1308年)
- 概要
- 五間四方入母屋造りの大きな堂で、和様(わよう)と大仏様(だいぶつよう)の折衷建築様式で、この建物は鎌倉前期、技法の最も進んだ時期のものであり、細部技法が巧みに取り入れられています。
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木造釈迦如来立像(もくぞうしゃかにょらいりゅうぞう)
- 区分
- 国宝(彫刻)
- 年代
- 平安時代初期
- 概要
- 像高234.8cm。金堂の本尊。本来は薬師如来として造像されたものであることがわかっています。特に朱色の衣の流れるような衣紋は漣波式(れんぱしき)と呼ばれる独特のもので、大きな波の間に、2つの小さな波があるのが特徴で、この様式を室生寺様(むろうじよう)とも呼ばれています。
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木造十一面観音立像(もくぞうじゅういちめんかんのんりゅうぞう)
- 区分
- 国宝(彫刻)
- 年代
- 平安時代初期
- 概要
- 像高196.2cm。榧(かや)一木造。彩色像で、頭上の化仏までを克明に彫出している手腕にみるべきものがあります。八重蓮華座と呼ばれる像の美しい台座は、後世の補作の部分はあるものの、平安時代前期の様式を良く伝えています。
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木造釈迦如来坐(もくぞうしゃかにょらいざぞう)
- 区分
- 国宝(彫刻)
- 年代
- 平安時代
- 概要
- 像高106.3cm。榧(かや)一木造。どっしりと安定した姿に引き締まった穏やかな表情が美しく、渓谷の清流を思わせる翻波式(ほんぱしき)衣紋は明快です。大きいひだと小さなひだが交互にあり、波がひるがえるのを表していて翻波式(ほんぱしき)と呼ばれています。
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板絵著色伝帝釈天曼茶羅図〔金堂来迎壁〕(いたえちゃくしょくでんたいしゃくてんまんだらず)
- 区分
- 国宝(絵画)
- 年代
- 平安時代
- 概要
- 縦351cm、横192cm。金堂内の須弥壇(しゅみだん)の後方板壁3間の中の間に縦長の桧板5枚を矧(はぎ)合わせて描かれた彩色画。製作は9世紀半ば頃とみられ、稀少な壁画遺品として貴重な遺品です。
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室生寺御影堂(むろうじみえどう)
- 区分
- 重要文化財(建造物)
- 年代
- 鎌倉時代
- 概要
- 奥の院にある弘法大師空海像を祀る御影堂(みえどう)は大師堂とも言い、板葺き二段屋根の宝形造りで、屋根の頂に据えられた露盤宝珠(ろばんほうしゅ)は優れた工芸品です。各地にある大師堂の中でも最古の堂の一つです。
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室生寺弥勒堂(むろうじみろくどう)
- 区分
- 重要文化財(建造物)
- 年代
- 鎌倉時代
- 概要
- 金堂前庭の左手(西側)にある三間四方の堂。鎌倉時代前期頃の建立とみられ、元は南向きであったのを室町時代に東向きに改められ、江戸初期にも改造されています。
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木造如意輪観音菩薩像(もくぞうにょいりんかんのんぼさつぞう)
- 区分
- 重要文化財(彫刻)
- 年代
- 平安時代
- 概要
- 室生寺の本尊。榧(かや)の一木造り。頭をまっすぐにたて正面する姿は、この像種のものの中では古様とみられ、幅奥共に充分な厚味のある上躰など、いかにも平安時代の一木彫像らしい重厚さを示しています。
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木造弥勒菩薩立像(もくぞうみろくぼさつりゅうぞう)
- 区分
- 重要文化財(彫刻)
- 年代
- 平安時代
- 概要
- 弥勒堂の本尊。像高94.4cm。榧(かや)材の一木造り。檀像で胸から腰に至る見事な瓔珞(ようらく)が克明に彫出されています。
檀像とは白檀などの香木で仏像を刻んだものを言うが、壇木に恵まれないわが国ではきめの細かい良質の木で彫ることが多い。
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木造薬師如来立像〔伝空海作〕(もくぞうやくしにょらいりゅうぞう)
木造文殊菩薩立像〔伝空海作〕(もくぞうもんじゅぼさつりゅうぞう)- 区分
- 重要文化財(彫刻)
- 年代
- 平安時代
- 概要
- 金堂の本尊の両側に置かれている二体。いずれも十世紀頃の一木造りで、大きさや作風に相違があり、江戸時代中期に他の堂から移された像と考えられています。
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木造地蔵菩薩立(もくぞうじぞうぼさつりゅうぞう)
- 区分
- 重要文化財(彫刻)
- 年代
- 平安時代初期
- 概要
- 像高160.0cm。桧材一木造りの彩色像。板光背(いたこうはい)は、像に合わない大きさで本像のものとは異なります。
この光背に合うのが室生寺から約9kmほど離れた地にある安産寺の地蔵菩薩像と言われています。
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木造十二神将立像(もくぞうじゅうにしんしょうりゅうぞう)
- 区分
- 重要文化財(彫刻)
- 年代
- 鎌倉時代
- 概要
- 木造彩色、像高100cm前後。医術と癒しの仏である薬師如来の家来である十二神将の像。これらの像は、頭上に十二支の動物を付けています。誇張された自由な姿態の表現は鎌倉時代中期の特色であり、その代表作といえます。
金堂には子神・丑神・午神・申神・戌神・亥神を安置しています。
寳物殿には寅神、卯神、辰神、巳神、未神、酉神を安置しています。
参拝案内 / 交通アクセス
参拝時間 | 8:30am-5:00pm(4月~11月) 9:00am-4:00pm(12月~3月) ※寳物殿は 9:00am-4:30pm ※12/1~3/31の間は9:30am-3:30pm 但し受付は3:00pmまで |
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拝観料金 | 入山料 大人 600円 小学生 400円 |
所在地 | 奈良県宇陀市室生78 |
交通アクセス | 近鉄 室生口大野駅からバス→「室生寺」下車 |